退職後の健康管理

就労中は、勤務先や当健康保険組合からのサポートにより、健康診断や人間ドックを受ける機会があり、健康管理・健康づくりに関する保健事業も利用できます。
しかし、退職後は自身で健康管理をしていく必要があります。

どのように健康を維持し、病気を予防すればよいのか、注意すべきポイントを紹介します。

年代別にみる体調の変化と病気のリスク!

健康状態は年齢とともに変化します。健康を維持するためにも、年代に応じた体調の変化や病気のリスクを把握することが大切です。

20~30代

基礎代謝が高く、体力や回復力もある時期ですが、生活習慣の乱れが将来の健康リスクにつながります。
睡眠不足や食生活の乱れ、運動不足、ストレス、過度な飲酒、喫煙などに注意が必要です。

40~50代

基礎代謝が低下し、体脂肪が増えやすくなります。
糖尿病や高血圧、脂質異常症などのリスクが高まるほか、ストレスによるメンタルヘルスの問題にも注意が必要です。
女性は更年期障害の症状が出ることもあります。

60代

心疾患や脳血管疾患、がんのリスクが高まります。
認知機能の低下に加え、運動機能の衰えによる転倒、骨密度の低下による骨折のリスクも増加します。

70代以降

体力や感覚機能の低下が顕著になるため、「フレイル」や「サルコペニア」(下記参照)に注意が必要です。
免疫機能の低下による感染症のリスクも高まります。

特に気をつけたい病気と対策

年齢を重ねるにつれてさまざまな病気のリスクが高まるので、早いうちから対策しましょう。

がん・生活習慣病

食生活の乱れや運動不足、睡眠不足、飲酒、喫煙などの生活習慣が影響して発症するとされています。
バランスのよい食事をとって運動習慣をもち、過度な飲酒や喫煙は控えることが大切です。

がん

がんは日本人の死因で最も多く、年齢とともに発症リスクが高くなります。
ただし、どの年代でも発症するリスクがあるほか、女性の場合、子宮頸がんは20代から、乳がんは30代から発症する人が増えはじめます。

高血圧、糖尿病、脂質異常症

自覚症状が少なく、進行すると脳卒中や心筋梗塞など、命にかかわる病気を発症する可能性があります。

ロコモティブシンドローム(ロコモ)

筋力や骨の衰えにより、移動能力が低下している状態です。
放置すると将来介護が必要になるリスクが高まるほか、寝たきりになる恐れもあります。
片脚立ちやスクワットなどの適度な運動を続けることが予防のカギとなります。

サルコペニア

加齢に伴って筋肉量が減少し、筋力が低下した状態です。
立ち上がりや歩行といった基本的な動きに影響が出て、放置すると歩行困難になります。
適切な栄養(特にたんぱく質)の摂取や筋トレなどの運動が有効です。

フレイル

加齢に伴って身体機能が低下し、健康と要介護の中間にある状態です。
ロコモやサルコペニアなどの「身体的フレイル」、うつ状態や軽度認知症などの「精神・心理的フレイル」、社会とのつながりが薄くなるといった「社会的フレイル」の3つの要素があります。
しっかり食べて体を動かし、社会参加することが大切です。

骨粗しょう症

加齢とともに骨の密度が低下し、骨がもろくなって骨折のリスクが高くなった状態です。
特に女性は閉経後に骨密度が急激に低下しやすいため、カルシウムやビタミンDの摂取、適度な運動を心がけましょう。

認知症

脳の病気や障害といったさまざまな原因によって、記憶力や判断力、言語能力などの認知機能が低下し、日常生活に支障が出ている状態をいいます。
バランスのとれた食事や運動習慣、人との交流、専門機関での認知トレーニングなど、早めの対策が重要です。

目の病気(白内障、緑内障、加齢黄斑変性など)

視力や視野の低下によって転倒や事故のリスクが増加します。
特に白内障や緑内障、加齢黄斑変性などは失明のリスクもあるため、定期的な検診を受けて早期に発見することが重要です。

歯周病

高齢になるほど歯周病のリスクが高まるといわれています。
歯周病は、糖尿病や動脈硬化、骨粗しょう症、誤嚥性肺炎など、さまざまな病気と関係しています。
日々の歯みがきや定期的な歯科健診が大切です。

生活習慣を見直して改善しましょう

退職後は生活リズムが変わりやすく、食生活の乱れや運動不足につながることがあります。健康を維持するために、以下の点を意識しましょう。

バランスのよい食事をとる

1日3食しっかり食べるようにして、炭水化物、たんぱく質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂取しましょう。塩分は控えめにします。

適度な運動を習慣化する

ウォーキングやストレッチ、筋トレなどを定期的に行い、運動不足を防ぎましょう。

質のよい睡眠を確保する

寝る時間と起きる時間を一定に保ち、就寝前のスマートフォンの使用やカフェインの摂取を控えるなど、良質な睡眠を確保する工夫をしましょう。

定期的に健康診断を受けましょう

自覚症状のないまま進行する病気もあるため、定期的に健康診断を受けることが重要です。
自治体が実施する健康診断がん検診(下記参照)に加え、歯科健診骨密度検査認知機能チェックなども活用し、病気の早期発見・早期治療につなげましょう。

国が推奨するがん検診

種類 検査項目 対象者 受診間隔
胃がん検診 問診および胃部X線検査※1または胃内視鏡検査 50歳以上 2年に1回
大腸がん検診 問診および便潜血検査 40歳以上 1年に1回
肺がん検診 問診および胸部X線検査および喀痰細胞診※2 40歳以上 1年に1回
乳がん検診※3 問診およびマンモグラフィ 40歳以上 2年に1回
子宮頸がん検診※4 問診、視診、子宮頸部の細胞診および内診 20歳以上 2年に1回
問診、視診、子宮頸部の細胞診および内診 30歳以上 2年に1回
問診、視診およびHPV検査単独法 5年に1回※5
  • ※1 胃部X線検査については、当分の間、40歳以上も対象とすることができ、また、1年に1回の実施も可。
  • ※2 喀痰細胞診は、50歳以上で喫煙指数[1日本数×年数]が600以上の人が対象。
  • ※3 視診・触診の単独実施は推奨しない。
  • ※4 自治体が実施する検査項目を要確認。
  • ※5 罹患リスクの高い人は1年後に受診。
  • (参考文献)
  • 厚生労働省「がん検診」
  • 厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」
  • 厚生労働省「職域におけるがん検診に関するマニュアル」

退職後も健康でいるために

退職後の健康管理は、将来の健康に大きく影響します。年代ごとのリスクを理解し、適切な生活習慣を心がけましょう。
健康診断やそのほかの保健事業を活用しながら、自分に合った方法で健康を維持することが大切です。

退職後は、加入する健康保険によって受けられる保健事業が異なります。退職後の健康保険については下記のページもご確認ください。

参考リンク